相続の発生という原因により、権利義務の移転(承継)の効果が生じます。

 

不動産登記で例えると、

動産の所有権を移転する場合、

 通常、権利を失う方(義務者)、権利を得る方(権利者)の共同申請にておこないます。

 

しかし、

相続を原因とする所有権移転は、

当然のことながら、亡くなられた方が義務者となって申請することはできません。


そこで、

権利者である相続人が、相続人であることを証する書面(戸籍等)を添付して、

権利を得る側からの申請で登記を行うこととなります。

一般に相続手続きは、

必ずこの戸籍を収集することからはじめることになります。

※法定相続関係を証明する「法定相続情報証明制度」についてはこちら。

ここでは具体的な法定相続人の確定方法について解説します。

 まず、

亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍等をすべて取得します。

実際の流れとしては、

亡くなられた際に登録されていた戸籍謄本を取得し、

その戸籍が編製された事由、その戸籍に入籍した事由などを読み取り、

その前の戸籍(除籍、原戸籍)謄本を請求します。

そして、取得した戸籍謄本等の内容を読み取り、

さらにその前のものを請求取得、という作業を繰り返します。

亡くなられた方が生まれた当時に、

生まれた旨が正に書き込まれた戸籍(除籍、原戸籍)謄本まで遡り、

死亡するまでの連続性が確認できれば、揃ったことになります。

 

この連続した戸籍の記載により、

亡くなられた方の婚姻や子供の存在が確認できることになります。

 

逆にいうと、

−ここに記載のある配偶者や子供以外に相続人はいない

という証明とするのです。

 

つぎに、

これらの記載から法定相続人に当たられる方の現在の戸籍まで取得します。

この作業により、

法定相続人が誰であるのか、

また、

前述のとおり、

現在把握されている法定相続人以外に(他の)相続人はいないことを証明することとなります。

 

 

戸籍等の収集作業については、可能な限りご本人に取得していただきますが、

ご依頼いただいた司法書士業務として使用することのみを目的として、

当職において取得することも可能です。

法定相続分とは法律上定まった相続分のことで、

例えば、

「配偶者は1/2、子は各1/2×1/子の数」

といった具合に、法律上決まっています。

 

土地や建物については相続人の一人が単独で相続したい場合などは、

法定相続分と違った分け方となり、

 一般的には、遺産分割協議をすることとなります。


遺産分割協議とは、

法定相続人全員で遺産をどのように分けるか話し合うことをいいます。

 

この協議は、法定相続人の全員で合意に至る必要があり、

一人でも欠けている合意は、無効となります。

 

遺産分割協議以外にも、

相続放棄や相続分の譲渡、特別受益等の方式で、

法定相続分以外の相続をする場合、方法があります。

 

遺産分割手続については、

司法書士井本誠治事務所にお気軽にお問い合わせください。

相続財産の承継において、手続きに要する書面等をご案内いたします。

各書面等の具体的な取得方法、代理取得や手続きのご依頼については、

司法書士井本誠治事務所にお気軽にご相談ください。

1.被相続人(亡くなられた方)

 □出生※から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本

 ※不動産登記手続きにおいては、概ね12〜13歳位からで可。

 □現在の戸籍の附票又は住民票除票(本籍地記載入りのもの)

 ※不動産登記手続きの場合、固定資産評価証明書(登記申請日が属する年度のもの)

 

2.法定相続人(全員)

 □戸籍謄本

 □戸籍の附票又は住民票(本籍地記載のもの)

遺産分割協議、

つまり、法定相続人のうち、法定相続分と違った方法で相続する場合


 □遺産分割協議書(法定相続人全員の実印が押捺されているもの)

  □印鑑証明書(相続人全員分

1.法定相続人のうち、相続放棄をした方がいる場合

(原則、相続を知ったときから3ヶ月以内に管轄家庭裁判所に申立をした方)

 □相続放棄申述受理証明書(家庭裁判所発行)

 

2.法定相続人のうち、特別受益者がいる場合

(婚姻等独り立ちの際、被相続人から贈与を受けたことがある方等)

 □特別受益証明書(実印を押捺したもの)

 □印鑑証明書(特別受益者のもの)

 

3.遺産分割協議に特別代理人の選任を要する場合

(遺産分割協議により、法定相続分と違った方法で相続をする場合に、

 相続人のうちに未成年者がおられ、

 その法定代理人(親権者)が、同一の相続につき相続人である場合)

 この場合、親権者とその未成年者については、

 利益が相反する関係であることから

 未成年者の利益を保護するため、

 家庭裁判所に対し特別代理人の選任を要します。

 家庭裁判所に対する申し立ての添付書面として、

 □特別代理人候補者の住民票(本籍地記載入りのもの)

 □特別代理人候補者の戸籍謄本

 □被相続人の除籍謄本

 □申立人の戸籍謄本

 □遺産分割協議書(案)

 なお、複数の未成年者がおられる場合、

 それぞれに特別代理人の選任を要します。

 

相続手続きにおいては、

 □特別代理人選任審判書謄本

 □特別代理人が未成年者の代理人として実印を押捺した遺産分割協議書

 □他の法定相続人全員の印鑑証明書に加え、特別代理人の印鑑証明書

以上、

相続手続として、必要となる書面をご説明いたしましたが、

戸籍謄本等については、

市町村による戸(除)籍等の保存期間満了等による不発行や空襲による焼失などにより、

被相続人と財産の帰属者との同一性が証明できない等の場合があります。

こうした場合は、

被相続人が当該財産を保有していたことが間違いないといえる書面(不動産であれば登記済権利証など)

相続人全員が実印を押捺した説明書、念書(法務局に対しては上申書など)

印鑑証明書等を添付−が必要になる場合があります。

相続は、被相続人(亡くなった方)が有していた債権債務、

つまり、

プラスの財産だけではなく、マイナスの財産をも、すべて引き継ぎます。

 

「相続財産を確認したら、マイナスの財産の方が多かった」

といったなどの場合は、

相続人は引き継ぎたくないと考えるのは当然です。

 

そこで、

こうした相続人の意思を尊重する制度として、「相続放棄」があります。

 

要件としては、

1 管轄家庭裁判所に、相続放棄をする旨を申述する、

2 その申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内にすること

です。

 

ですので、相続人の間で、「私は相続放棄した。」といっても、

家庭裁判所に対し申述していないと、

法律上の「相続放棄」をしたことにはなりませんので、ご注意ください。

 

なお、

熟慮期間(じっくり考える期間)である3ヶ月の起算点である

「自己のために相続の開始があったことを知った時」は、

原則、自己が相続人となる被相続人の死亡を知ったときと考えられますが、

相続人が相続財産が全く存在しないと信じ、かつ、そう思ったことに相当の理由がある場合は、

相続財産の一部、または全部を認識したときなどから起算するとされています。

 

これまで、音信不通、交流の全くなかった親類の債務について、

ある日突然、

債権者から「あなたは相続人だから払え」といった請求書が届くなどした場合は、

すでに数年経っていたとしても、

こうした「救済」により、相続放棄を申述することが可能です。

詳しくは、ご相談ください。

 

■相続放棄申述の際、申立書に添付を要する書面は次のとおり。

 □申述人の戸籍謄本

 □被相続人の戸籍謄本

 □その他、資料の提出を求められる場合があります。

 

相続放棄申述受理申立手続については、

司法書士井本誠治事務所にお気軽にお問い合わせください。

限定承認とは、

プラスの相続財産よりマイナスの相続財産が多いと思われる場合に、

相続はするけど、

引き継いだ財産(プラスの財産)の範囲でしか負債(マイナスの財産)の責任は負わない

という制度です。

 

相続放棄と同様、管轄家庭裁判所に対し、3ヶ月以内に申述する必要があります。

なお、

この限定承認は、相続放棄とは異なり、相続人全員でする必要があります。

 

■限定承認の申述の際、申立書に添付を要する書面は次のとおり。

 □申述人の戸籍謄本

 □被相続人の戸籍謄本

 □被相続人の住民票除票

 □財産目録

 □その他、資料の提出を求められる場合があります。

 

詳しくは、お問い合わせください。

相続人の中に行方の分からない方がいる場合、

相続人全員で行う必要のある「遺産分割協議」ができず、

いつまでたっても、遺産の承継手続きが進められない場合、

相続人などの利害関係人は、

家庭裁判所に対し、その行方不明者を「不在者」として、

財産管理人の選任を申立てることができます。

 

選任された財産管理人は、

遺産分割協議に参加することができ、

家庭裁判所より「権限外行為の許可」を得て、

当該遺産分割協議を成立させることが出来ます。

 

遺産分割により取得した不在者の財産は、

管理人が保管することとなり、

不在者の帰来を待つことになりますが、

通常、

一定期間が経過したのちは、不在者について失踪宣告を申立てるのが一般的です。

 

なお、

この不在者財産管理人は、

管轄家庭裁判所により、

当該関係者とは無関係である弁護士、司法書士などが選任されることが一般的です。

 

■不在者財産管理人選任の申立に要する書面

 □申立人の戸籍謄本

 □不在者の戸籍謄本、戸籍の附票

 □申立人の利害を証する書面−相続関係を証する書面、相続財産関係書面など−

 □不動産がある場合は登記事項証明書など

 □候補者を挙げる場合は、候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書など

 ※候補者が選任されるとは限りません。

 

不在者財産管理人選任申立については、

司法書士井本誠治事務所にお気軽のお問い合わせください。

司法書士は、

受諾した司法書士業務に使用することを目的として、

依頼者の委任にもどづき、

戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍籍謄本、戸籍の附票、住民票の写し、

固定資産評価証明書、登記事項証明書などを、

職務上の請求、代理取得することが可能です。

 

なお、

こうした職務上の請求、代理取得については、

司法書士法第3条に規定する業務、

または、

司法書士法第29条において「すべての司法書士が行うことができる」「業務」として定義する、

司法書士法施行規則第31条に規定する業務を受諾していることが前提となります。

 

ですので、

単に相続人の調査をしたいといった理由のご依頼では、代理取得、職務上の請求をすることはできません。

予めご了承ください。

 

戸籍謄本等の職務上請求、代理取得については、

司法書士井本誠治事務所にお気軽にお問い合わせください。

司法書士法
(業務)
第3条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
 登記又は供託に関する手続について代理すること。
 法務局又は地方法務局に提出する書類を作成すること。
 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
 裁判所又は検察庁に提出する書類を作成すること。
 前各号の事務について相談に応ずること。
 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起、再審及び強制執行に関する事項については、代理することができない。
 民事訴訟法(平成八年法律第109号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第59号)第33条第1項第1号に定める額を超えないもの
 民事訴訟法第275条の規定による和解の手続又は同法第7編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないもの
 民事訴訟法第2編第3章第7節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法(平成元年法律第91号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないもの
 民事調停法(昭和二十六年法律第222号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないもの
 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は裁判外の和解について代理すること。
−以下、省略−
第29条
 司法書士法人は、第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、次に掲げる業務を行うことができる。
一  法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部
二  簡裁訴訟代理関係業務
−以下、省略−
 
司法書士法施行規則
(司法書士法人の業務の範囲)
第31条 法第29条第1項第1号の法務省令で定める業務は、次の各号に掲げるものとする。
 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務
 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務
−以下、省略−

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